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個人事業主の税金シミュレーション|計算手順と年収別早見表で手取りが分かる

若月
若月
会社経営者 ・ 節税・補助金を実務で運用 ・ セーフティ共済・小規模企業共済を活用
2026-06-16
確定申告の時期が近づくと、「結局いくら税金を払うのか」「手取りはどれくらい残るのか」が見えず不安になりがちです。このページでは、収入と経費を入力して所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金・手取りの目安を計算するシミュレーションの手順を、入力1ステップずつ確認の目安付きで解説します。さらに年収別の早見表や青色申告・節税の試算まで通して読めば、自分のケースの税負担と納税資金の準備が具体的に進められます。
画像(準備中):個人事業主が税金をシミュレーションしている様子

個人事業主の税金シミュレーションとは?このページでできること

個人事業主の税金シミュレーションとは、1年間の収入と経費、所得控除を入力して、所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金などの負担額と手取りの目安を計算する仕組みです。このページでは、入力手順の解説、年収別の早見表、青色申告と白色申告の差、節税対策の試算までを順番に確認できます。

税金の計算は「収入−経費=所得」「所得−所得控除=課税所得」「課税所得×税率=税額」という共通の流れで進みます。この流れを押さえれば、どのツールを使っても結果の意味が読み取れます。

シミュレーションの所要時間・難易度・準備するもの

入力に必要な所要時間は、数字が手元にそろっていればおおむね5〜10分です。難易度は、確定申告書を一度書いたことがある人なら易しく、初めての人でも各項目の意味を確認しながら進められます。

シミュレーション前に準備するもの
準備するもの具体例使う場面
年間の収入額売上の合計収入欄の入力
年間の経費額仕入・通信費・地代家賃など経費欄の入力
所得控除の資料国民年金・国保の支払額、生命保険料控除証明書所得控除欄の入力
扶養家族の情報配偶者・子・親の有無と年齢扶養・配偶者控除の判定

国民年金や国民健康保険料の支払額は社会保険料控除になるため、支払金額の記録を手元に置いておくと入力がスムーズです。

手順1:年齢・扶養家族の情報を入力する

最初に本人の年齢と、扶養している家族の情報を入力します。年齢は、国民年金の納付状況や住民税の非課税判定、健康保険料の計算区分に影響します。扶養家族は、配偶者控除・扶養控除の対象になるかどうかを判定するために使います。

画像(準備中):年齢・扶養家族の入力画面

ここまでできていれば正しい目安:本人の年齢欄と、扶養する家族の人数・続柄が入力されている状態です。扶養する家族がいない場合は0人のまま進めます。

手順2:収入・経費・所得を入力する

次に、1年間の事業収入と経費を半角数字で入力します。収入は売上の合計、経費は事業のために支出した金額の合計です。多くのツールでは、収入から経費を差し引いた「所得(利益)」が自動で表示されます。

画像(準備中):収入・経費・所得の入力画面

ここまでできていれば正しい目安:収入欄と経費欄に金額が入り、所得(収入−経費)の数字が表示されている状態です。青色申告特別控除を使う場合は、この後の控除欄、またはツールの青色申告の設定で反映します。

手順3:所得控除額を入力する

所得控除は、課税所得を下げて税額を軽くする項目です。社会保険料控除(国民年金・国保の支払額)、生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除などを入力します。控除額は半角数字で入れます。

画像(準備中):所得控除額の入力画面

ここまでできていれば正しい目安:基礎控除に加え、実際に支払った社会保険料や控除証明書のある保険料が入力されている状態です。基礎控除はツール側で自動加算される場合が多いため、二重に入れていないか確認します。

手順4:シミュレーション結果を確認する

すべて入力すると、所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金などの内訳と、合計の税負担、手取り金額が表示されます。結果は「課税所得=所得−所得控除」「税額=課税所得×税率」という流れで計算されています。

画像(準備中):確定申告の税金計算シミュレーションの結果画面

この手順で、自分の収入・経費・控除に応じた税金の概算と手取り金額の試算ができました。表示された各税目の金額を、次の章の計算式と照らし合わせると、結果の根拠まで理解できます。

うまく計算できないときの対処法とつまずきやすいポイント

結果が想定と大きくずれるときは、入力の形式と二重計上を疑います。全角数字や金額にカンマを含めると正しく読み取れないツールがあるため、半角数字で入力します。基礎控除をツールが自動加算しているのに手入力でも入れていると、控除が二重になります。

つまずきやすいポイントと対処法
症状原因の例対処法
税額が0や異常値になる全角数字・カンマ付きで入力半角数字で入れ直す
控除が多すぎて税額が低い基礎控除を二重入力自動加算分は手入力しない
国保・年金が反映されない社会保険料控除の入力漏れ支払額を社会保険料控除に入れる
青色の効果が出ない青色申告の設定を選んでいない青色申告と控除額を選択する

扶養や副業、赤字といった条件はツールによって対応範囲が異なります。複雑なケースは概算と割り切り、最終的には確定申告書の様式で確認するのが安全です。

シミュレーション結果から分かる手取り金額の見方

手取りは、収入から経費と税金・社会保険料を差し引いた金額です。シミュレーションでは「合計収入に対する手取り」と、給与収入がある場合は「給与収入+事業の利益に対する手取り」の両方を確認できると、生活に使える金額が把握しやすくなります。

手取りの計算の考え方
項目計算残るお金
収入売上合計事業の入金
−経費仕入・家賃など利益が残る
−所得税・住民税課税所得に税率を掛ける税引後
−国保・国民年金社会保険料これが手取り

注意点として、所得税は当年に納め、住民税と国民健康保険料は翌年に課税されます。手取りの数字には翌年支払う分が含まれていないため、その分を取り分けておく意識が必要です。

個人事業主が払う税金の種類と計算の流れ

個人事業主が関わる主な税負担は、所得税、住民税、個人事業税、消費税、そして国民健康保険料・国民年金です。計算の流れは共通で、まず所得金額を求め、次に所得控除を引いて課税所得を出し、最後に税率を掛けて各税額を算出します。

個人事業主が払う主な税・保険料
種類かかる対象納める先
所得税課税所得国(税務署)
住民税前年の課税所得市区町村・都道府県
個人事業税一定の事業所得都道府県
消費税課税売上(要件該当時)
国民健康保険料所得など市区町村
国民年金定額日本年金機構

国民年金の保険料は定額です。令和7年度の国民年金第1号被保険者の保険料は月額17,510円と日本年金機構が公表しています。

所得金額の計算方法と計算式

事業所得の金額は「総収入金額−必要経費」で求めます。青色申告を選んでいる場合は、ここからさらに青色申告特別控除を差し引けます。国税庁は事業所得の金額を総収入金額から必要経費を差し引いて計算すると説明しています。

複数の所得がある場合は、各所得を合算してから所得控除を引きます。たとえば事業所得と給与所得がある人は、両方の所得金額を合計したうえで課税所得を計算します。

所得控除額の計算方法と種類

所得控除は、課税所得を引き下げる項目の合計です。基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除などがあります。国税庁は所得控除を15種類として一覧で公表しています。

社会保険料控除は、その年に支払った国民年金・国民健康保険料の全額が対象です。支払額をそのまま控除に入れられるため、納付記録を残しておくと入力がスムーズです。

所得税・住民税・事業税・消費税それぞれの税率と仕組み

所得税は課税所得が増えるほど税率が上がる超過累進課税です。国税庁が公表する所得税の速算表では、課税所得に応じて5%から45%まで7段階に分かれています。

所得税の速算表(抜粋)
出典:国税庁 No.2260 所得税の税率
課税される所得金額税率控除額
195万円未満5%0円
195万円〜330万円未満10%97,500円
330万円〜695万円未満20%427,500円
695万円〜900万円未満23%636,000円
900万円〜1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万円〜4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

住民税は、所得に応じてかかる所得割と、定額の均等割で構成されます。個人事業税は、法律で定められた業種に該当し、事業の所得が一定額を超える場合にかかります。消費税は、課税売上に対して負担が生じる仕組みで、納税義務の有無は売上規模やインボイス登録の有無で変わります。

国民健康保険料・国民年金の計算方法と自治体による違い

国民健康保険料は、所得に応じてかかる所得割や、世帯・人数に応じた均等割などを組み合わせて計算します。料率や均等割の金額は市区町村が条例で定めるため、同じ所得でも自治体によって保険料が異なります。正確な金額は、お住まいの市区町村の公表する料率で確認します。

国民年金は所得に関係なく定額です。前述の日本年金機構によると、令和7年度は月額17,510円で、年額に換算すると約21万円になります。免除や猶予の制度を使える場合があるため、納付が難しいときは年金事務所に相談します。

年収別の税金早見表(300万・500万・1000万円のシミュレーション)

税金早見表は、収入や所得の区分ごとに税額の目安を一覧化したものです。実際の税額は経費・控除・自治体によって変わるため、ここでは計算の前提となる所得税の速算表を基に、課税所得から所得税額を求める例を示します。

課税所得から所得税額を計算する例
国税庁の速算表(所得税額=課税所得×税率−控除額)に当てはめた計算例。住民税・国保・経費・各種控除は含まない所得税のみの試算
課税される所得金額計算式所得税額
300万円300万円×10%−97,500円202,500円
500万円500万円×20%−427,500円572,500円
1,000万円1,000万円×33%−1,536,000円1,764,000円

これは所得控除を引いた後の課税所得に対する所得税のみの数字です。実際の手取りは、ここに住民税・国民健康保険料・国民年金を加えて差し引くため、シミュレーションツールで自分の控除を入れて確認するのが確実です。

青色申告と白色申告での税額比較(65万円控除の効果を金額で確認)

青色申告では、要件を満たすと最大65万円の青色申告特別控除を所得から差し引けます。国税庁は、e-Taxによる電子申告などの要件を満たす場合に65万円の控除が受けられると説明しています。

65万円控除がある場合とない場合の所得税の差(例)
課税所得が他の控除後に300万円相当となる人が、65万円控除をさらに使えた場合の所得税のみの概算。住民税・国保は含まない
条件課税所得所得税額(速算表)
控除なし(白色相当)300万円202,500円
65万円控除あり235万円135,500円
差額−65万円−67,000円

この例では所得税だけで約6.7万円軽くなります。さらに住民税の所得割(標準10%)でも65万円分の課税所得が下がるため、合計の軽減額はより大きくなります。

扶養家族・配偶者控除による税額の変化の具体例

配偶者控除や扶養控除は、課税所得を下げて税額を軽くします。国税庁は、控除対象配偶者がいる場合の配偶者控除(一般の控除対象配偶者)の控除額を、納税者本人の所得に応じて最高38万円としています。

たとえば配偶者控除38万円が適用され、課税所得が税率10%の区分にある人なら、所得税で38万円×10%=3.8万円の差が生じます。扶養控除も同様に、対象となる親族の区分ごとに控除額が決まっています。

節税対策の具体例と節税額の試算(小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税・経費計上)

課税所得を下げる代表的な手段は、小規模企業共済とiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金です。中小機構は、小規模企業共済の掛金が全額所得控除の対象になると説明しています。

iDeCoの掛金も、国民年金基金連合会によると全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。掛金が全額控除になるため、たとえば掛金合計が年60万円で税率10%の人なら、所得税だけで6万円の軽減になります。

ふるさと納税は、寄附金控除を通じて住民税・所得税の負担を抑える仕組みです。経費計上は、事業に必要な支出を漏れなく計上することで所得そのものを下げる基本の方法で、領収書の保存が前提になります。

インボイス制度導入後の消費税負担を含めたシミュレーション

インボイス制度の登録事業者になると、課税事業者として消費税の申告・納付が必要になります。国税庁は、適格請求書を交付できるのは登録を受けた課税事業者に限られると説明しています。

消費税の負担は、受け取った消費税から仕入れなどで支払った消費税を差し引いて納める仕組みが基本です。負担が増える分、所得税のシミュレーション結果に消費税の納付見込みを加えて資金を確保しておくと安全です。

副業(給与所得+事業所得)がある場合の合算課税の計算例

会社員が副業で事業所得を得ている場合、給与所得と事業所得を合算してから所得控除を引き、課税所得を求めます。所得税は合算後の課税所得に超過累進税率を適用するため、給与だけのときより高い税率区分に入ることがあります。

給与+事業所得を合算する流れ
手順内容
1給与所得を計算(給与収入−給与所得控除)
2事業所得を計算(収入−経費−青色控除)
32つの所得を合算
4所得控除を引いて課税所得を出す
5速算表で所得税を計算

給与から源泉徴収された所得税は、確定申告で精算します。副業の利益が出ている場合は、合算により追加で納める所得税が発生することが多いため、シミュレーションで合算後の税額を確認しておきます。

赤字の場合の繰越控除と損益通算の扱い

事業所得が赤字のときは、他の黒字の所得と相殺する損益通算ができます。さらに青色申告をしている場合、その年に控除しきれなかった損失(純損失)を翌年以降に繰り越せます。国税庁は、純損失の繰越控除の期間を翌年以後3年間としています。

赤字でも申告しておくことで、翌年以降に利益が出たときの税負担を抑えられます。シミュレーションツールが赤字や繰越に対応していない場合は、確定申告書の様式で別途確認します。

開業初年度・廃業年の税金計算で注意すべき点

開業初年度は、年の途中から事業を始めると収入が少なく所得税が小さくなる一方、開業前の準備にかかった支出を開業費として計上できる場合があります。廃業年は、その年の途中までの所得を計算し、未回収の売掛金や在庫の扱いに注意が必要です。

開業した場合は、開業から原則1か月以内に開業届を税務署へ提出します。青色申告を初年度から使うには、青色申告承認申請書の提出期限もあるため、国税庁の案内で期限を確認します。

個人事業主と法人化の税負担比較・法人成りの損益分岐点

所得が大きくなると、所得税の累進税率より法人税率のほうが低くなる場合があり、法人化(法人成り)が選択肢になります。個人の所得税は最高45%まで上がる一方、法人税には所得規模に応じた税率が適用されます。

個人と法人の税負担を比べる主な観点
観点個人事業主法人
所得への課税所得税(5〜45%の累進)法人税中心
給与による調整事業主給与は経費にできない役員報酬を経費にできる
社会保険国民健康保険・国民年金社会保険(厚生年金など)
設立・維持の手間届出のみで開始設立費用や維持の手間がある

損益分岐点は、報酬の取り方や社会保険の負担、設立・維持コストで変わるため、一律の所得額で線引きはできません。所得税の速算表と役員報酬の設計を合わせて、個別に試算して判断します。

予定納税・中間納付など納付タイミングと資金繰りの注意点

前年の所得税額が一定以上だと、予定納税としてその年の所得税の一部を前払いする必要があります。国税庁は、予定納税基準額が15万円以上の人は予定納税の対象になると案内しています。

予定納税は年の途中に納付時期が来るため、確定申告のときだけ資金を用意すればよいわけではありません。シミュレーションで年間税額を把握したら、納付月ごとに資金を割り振っておくと資金繰りが安定します。

住民税・国民健康保険料の翌年課税による資金繰りリスク

若月

若月

会社経営者 ・ 節税・補助金を実務で運用 ・ セーフティ共済・小規模企業共済を活用
実在の経営者(匿名化)。実務でやった節税・補助金の話を、建前でなく本音で書く。「税理士が積極的に教えてくれないこと」も率直に。

中小企業の経営者。自分の会社で節税と補助金を実践してきた。税理士に任せきりにせず、制度を自分で調べて使う派。失敗や払いすぎた経験もあるからこそ、現実的な打ち手を語れる。